工場、飲食店の在留資格問題


工場で技術・人文知識・国際業務


3月15日付けの産経新聞に以下のような記事があがっていました。

通訳のはずが…実際は焼き鳥の串打ち 食肉加工会社社長を逮捕


http://www.sankei.com/west/news/170315/wst1703150077-n1.html

これは、我々入管業務を行う行政書士も襟を正さなくてはいけないところです。

事件の概要


日本の就労ビザは、技術・人文知識・国際業務というビザにほぼ集約されています。これは、通常の会社員、要はオフィスワークに与えられる在留資格です。技術・人文知識・国際業務がどのような資格なのかは、在留資格一覧のページをごらんください。このビザを申請、取得させ、実際には工場で焼き鳥の串打ちをさせていたことで逮捕に至ったという

事件の問題点


今回の事件は、会計や通訳を行うという申請をしていました。本当に会計や通訳をしていれば、特に罪には問われません。たぶん、工程管理などの事務方、仕入部門での業務などでも問題はないでしょう。

日本の在留資格は活動に与えられるものと、身分に与えられものがあり、技術・人文知識・国際業務は活動に与えられる在留資格です。そして、活動に与えられる在留資格では、その活動が厳しく制限されます。つまりオフィスワークに与えられる在留資格で、現場で働いてはいけないということです。

実際の審査


今回のケースでよく5人も審査を通ったと思うのですが、工場で技術・人文知識・国際業務の申請をする場合には、申請者の業務が単純労働ではないということをかなり厳しく見られます。一般的に提出する資料だけを添付して申請をしても、間違いなく追加書類の要請がきます。

一体この人は何をする人なのか、どこではたらくのか、職場の様子はどうなのか、一日のスケジュールはどうなっているのか等、かなり細かく見られます。

例外はないのか?


それでは、技術・人文知識・国際業務を取得した外国人が現場で働くことはありえないのでしょうか? 実はありうるのです。それは、通常の新入社員研修の範囲であることが条件です。

日本人を雇用した場合でも、現場のことが全くわからないのでは話になりませんから、新入社員教育をほどこすはずです。その際に、工場での勤務も経験させることがあるでしょう。つまりこの範囲であれば可能だということです。

当然、それは適切な範囲でなければなりません。適切な範囲とは、会社が通常行っている範囲です。日本人の大卒者は3ヶ月、外国人は1年では適切な範囲とはいえません。

形だけ会計にしておこう、形だけ通訳にしてこうというような手段は今回のように不法就労助長罪となりますので、十分お気を付けください。

飲食店の場合


それでは飲食店の場合はどうでしょうか。やはり工場と同じです。更に、飲食店の場合、お客様への通訳というのは認められません。メニューの工夫や、日本人従業員の教育でどうにかなるだろうというのが入管の判断です。

人手不足への対応


好意的な見方をすれば、今回は、人手不足のため、外国人を使わざるをえなかったことが原因です。そこで、日本政府が人手不足への対応をどのように考えているのか、実は、昨年からいわゆる単純労働への在留資格の緩和は何度か報じられています。その中で、介護という在留資格が新設されたことは記憶にあたらしいところです。

さらに、3月10日の時事通信で内閣の「国家戦略特区法」の改正に関する記事が報じられました。


http://sp.m.jiji.com/search/article/span//offset/0/key/%8FA%94_

その中に外国人の在留資格に関する部分があり、「高い専門性を持つ外国人が農業分野や観光などサービス分野で就労しやすくなるよう、在留要件を緩和する」との内容が盛り込まれています。

まず外国人の就農に可能性がでてきました。また観光などのサービス分野も対象であるとのことです。例えば、ホテル、旅館に加え、飲食店などでの就業が可能になれば、かなり効果のある法改正だと思います。さらには、今話題の宅配業界などもサービス業というくくりで対応してもらえるとずいぶん現場の人手不足には効果がありそうです。国家戦略特区法の改正ですから、国家戦略特区に自治体が手をあげる必要がありますが、まずは実現してもらいたいところです。

高度人材に1年で永住権

高度人材という在留資格があります。これは、高度な知識や技術をもった外国人に日本で活躍してもらうために、平成24年5月から採用された優遇制度です。

様々な優遇処置があるのですが、その中に永住許可申請までに要する期間に関する優遇制度があります。

通常は10年の期間が必要なのですが、高度人材の場合5年で永住申請ができます。それを更に3年にし、その中でもポイントの高い外国人には1年で認めようというのが今回の決定です。

http://www.sankei.com/life/news/170118/lif1701180006-n1.html

高度人材とは


在留資格の名称としては、正しくは、高度専門職と言います。高度人材外国人の活動内容を「研究」、「技術・人文知識」「経営・管理」にわけます。在留資格の「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「経営・管理」に、それぞれ一致していると考えていただいて大丈夫です。

1. 高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」


研究者として大学や研究所で研究にあたる人

2. 高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」


企業などで働く方

3. 高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」


企業の経営にあたる方



そして、それぞれの活動の特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」,「研究実績」などの項目ごとにポイントを設定し,それそれの基準で、70ポイントを上回れば,高度専門職の資格を得ることができます。

基準は、それぞれの分類で違います。例えば、「経営・管理」などは経営者の資格ですから、年収においては高いハードルが設けられていますが、「研究」においては「経営・管理」ほど年収は重要視されません。具体的なポイントはこちらを参照してください。


http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/pdf/06_point-hyou.pdf

中小企業の優遇制度


高度人材ポイント制の申請を行う外国人の方が所属する大学・企業等の機関が,イノベーション促進支援措置を受けている場合には,特別加算としてポイントが加点されます。通常1 0点なのですが、所属機関が中小企業である場合は20点、中小企業の優遇制度があります。外国人を雇用している中小企業の方は、一度確認してみてください。

イノベーション促進支援措置一覧


http://www.immi-moj.go.jp/newimmiact_3/pdf/innovation-sokushin.pdf

申請3年になるとどうなるのか


基準に基づいて、日本の大学を卒業して一般企業に就職した留学生のポイントを具体的に算出してみます。

日本の大学を卒業: 10 + 10 (日本の大学は10ポイント加算がある)

年齢は27才: 15ポイント (30才以下)

日本語のN1資格をもっている: 15

年収は300万: 0 (年収は300万以上が条件ですが、ポイントは400万から加算)

イノベーション促進支援措置を受けている: 中小企業 10 +10 (中小企業は10ポイント加算)

これで70ポイントになります。現在の制度では、この状態を5年続けなければなりません。もし、日本の大学を4年間通ったとすると、これで9年になります。あまりメリットはありませんね。しかし、これが3年になると、7年間で永住申請が可能になります。

1年で永住申請できる人、


更に80点を超えれば1年での永住申請を認めようというのが今回の決定です。日本で外資系の企業のマネージャーに就任する40代の役員の場合で考えてみます。

MBAを取得している:25

5年の経験:15

年収は2500万:40

職位は取締役:5

85ポイントになり、1年で永住申請が可能になります。経営・管理の要件においては、年収が大きな要素を占めることがわかります。

永住以外の優遇処置


高度人材には永住申請期間以外にも優遇処置があります。

1 複合的な在留活動の許容


通常,外国人の方は,許可された1つの在留資格で認められている活動しかできませんが,高度人材外国人は,複数の在留資格にまたがるような活動を行うことができます。例えば,大学での研究活動をしながら関連する事業を経営するなどが考えられます。

2 在留期間「5年」の付与


最長の在留期間である「5年」が一律に付与されます。この期間は更新することができますが、3年で永住申請が可能となるため、今後はあまり意味はないかもしれません。

3 配偶者の就労


在留資格「教育」,「技術・人文知識・国際業務」などに該当する活動を行おうとする場合には,学歴・職歴などの一定の要件を満たし,これらの在留資格を取得する必要がありますが,高度人材外国人の配偶者の場合は,学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも,これらの在留資格に該当する活動を行うことができます。

4 親の帯同


現行制度では,就労を目的とする在留資格で在留する外国人の親の受入れは認められません.
しかし高度人材の場合、一定の要件、条件を満たせば、外国人本人又はその配偶者の親(の入国・在留が認められます。7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合、妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度人材外国人本人の介助等を行う場合に限られます。

5 家事使用人の帯同


高度人材外国人については,一定の要件の下で,外国人の家事使用人を帯同することが認められます。

「日本再訪したくない」は問題か?

四ツ屋駅

1月12日付けの西日本新聞に以下のような記事が掲載されました


「日本再訪したくない」 ネパールに帰国の留学生ら


https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/300930/

多くのネパール人が日本に失望していて、その原因が日本にあるという印象の記事の内容と、この記事中の、取材した事実と、記事の方向性との間に温度差を感じてしまったので、触れておこうと思います。ただし、日本にも課題はあるので、そのことも最後に触れます。

数字に対する違和感


この記事では、133人の在日者、121人の帰国を対象に聞き取りを実施、日本での生活に「満足していた」のは61%、帰国者のうち、全体の50%が再来日を希望しない、27%が「分からない」と回答したという数字を示しています。

仮に、満足していた人が在日者、帰国者全員の61%だったとすると、残りは39%です。帰国者がどれくらいの比率に上るかわかりませんが、日本の生活に満足している人は、日本にいたいという人が多いでしょうから、満足していない人はおおかた帰国者に多いと考えるの自然です。

また在日ネパール人がすさまじい数で増えていることを考えると、帰国者の割合はさほど多くないと思います。そのうちの半分が再来日を希望していないというのは、全体からみれば極少数でしかないはずです。実際、私のところにビザの問題でくるネパール人で、「将来永住はいらない。帰りたい。」と言った人は、一人だけです。

低学歴者の不満足度を問題にしている違和感

記事では、生活満足度が低い人の傾向として「日本語能力が低い」「低学歴」としています。それでは低学歴の人が日本で働けるかといえば、答えはノーです。そもそも在留資格がおりません。それでも無理して来日する人がいるのです。

言葉がわからなくてもなんとかなるという勘違い


日本の就労ビザは、学歴などの要件を満たすと同時に、先に仕事ありきです。ですから、先に就労ビザをもらって働けるわけではありません。しかし、私の事務所には、海外在住の方からも、「日本で働きたいのでビザが欲しい」という問合せが頻繁にあります。

つまり、彼らは、単純労働なら言葉も少々通じなくてもなんとかなるだろうと思って問合せをしてきます。日本にきているネパール人の場合、もうちょっと詳細な情報は持っていますが、言葉に関する甘さに関しては大して差はありません。

ビザがあれば日本にいられるという勘違い


私のところにきた事例の中でも、最悪な留学生の例をあげます。彼はほとんど日本語は話せず、英語もたどたどしく、ネパール人の友人に連れ添ってもらってやってきました。

数年日本で働けば、しっかり稼げると思い、100万近い日本語学校の授業料を支払い、留学のビザで来日します。幸いなことに2年間のビザをもらえました。ここで大きな勘違いを彼はしてしまいました。ビザがあるから2年間はいられると思ってしまったわけです。

そこで、学校には一度も行かず、アルバイトにあけくれ、毎月250時間ほど働き、30万以上稼いでいました。さて、夏休みを迎えたころに入管から手紙をもらいます。申請に虚偽があるので、出頭しないさいという内容です。

日本のビザは、永住を除いて活動にたいして与えられます。その活動を90日以上しなくなったときには、帰国を余儀なくされます。留学ビザは勉強という活動をするためのビザです。長期にわたり授業にでない学生がいれば、学校は入管に報告します。その留学生の居どころがわかれば、入管はその留学生を呼びつけ、在留資格を取消し、帰国を促します。

留学の在留資格更新時の出席率の基準は80%です。つまり出席率が80%にみたない、また、なんとか80%は満たしていても、週28時間を超えて働いていたなどのケースでも、前述の彼と同じ結果になります。そしてこの種の事例は山のようにあります。

このようにしてビザ更新ができなかった人が、日本に戻りたくないと言ったとしても、無理はありません。それは日本人の心の持ち方の問題でも、制度上対応できる問題でもありません。

なぜ、彼らはそこまで働くのか


開発途上国からの私費留学は経済的に無理がある


前述の彼のように、働くことだけが目的のケースもありますが、大半は別の理由です。高額な授業料を払い、普通に生活をするのは、日本人でも大変です。ましてや、日本より、経済水準の低い国から仕送りをして留学生を支えられるのは相当の収入がある世帯です。

最初の入学金はなんとかなったけど、後はバイトで乗り切るつもりで日本にやってくる留学生は後をたたないのです。ここにもう一つのドロップアウトの原因があります。授業料が払えなくて、学校をやめ難民申請をして日本にいる偽装難民などがこうやって生まれます。

日本語の重要性


この記事の中身において、日本人ができることがあるとすれば日本語に関することだと私は思います。何故、日本語学校に通っているのに、日本語を話せない学生がたくさん生まれるのか。その問題は、解決できるし、すべきだと考えます。

日本語が話せない原因


同国人同士で固まる


ビザのこういう仕組みをわかっている学生は、なんとか切り詰めて生活します。一番の節約は一緒にすむことです。大体4,5人が一緒に住んでいることが多いと思います。結果として同国人で生活をすることになり、日本語は、定型の言葉ですむだけのアルバイトと授業だけでしか使わないと上達はしません。

日本語学校の問題


これはタンザニア出身の留学生と話していて、意見が一致したので、やっぱりそうなんだと確信をしたことなのですが、大学の日本語別科などで日本語を学んだ人はかなりしっかりした日本語を話しますが、日本語学校でしか学んでいない人で、日本語が上手な人はあまりいないのです。

日本が対応できること


日本語の教育機関のレベルアップ


実は、日本語学校には監督官庁がありません。設立時の申請先は入国管理局です。しかし、教育機関としての細かいカリキュラム、生徒の指導要領などの監督官庁はないのです。その結果、授業はおざなり、あげくの果ては不法就労斡旋などを、どうどうと行う学校もでてきてしまいます。

外国人の日本語になれる


なかなか難しいのですが、少々の誤用は許してあげるような寛大さがぼちぼち必要なのかもしれません。

「私どものほうでやらせていただきます」という意味の日本語を、「わたくしがやってあげます」と言われると、多くの日本人はむっとすると思います。この種の間違いは、レベルの高い間違いですが、接客業では嫌われます。不動産屋さんの内覧などでは、それが理由で契約が流れるなどということを不動産屋さんから聞いたことがあります。

これは矛盾なのですが、高学歴の人を必要としない生活現場に近い職種ほど、正確な日本語を要求されてしまうのです。アメリカでトランプ支持者が「英語が話せるようになってから来なさいよ」と叫んでいるのを聞いたことがあります。結局、日本でも同じ事がおこります。

外国人の在留問題は、結局、永住など移民問題につながります。そこで最も重要なのが日本語教育であり、日本の社会に根付かせる同化施策です。同化政策というと聞こえがよくありませんが、日本人のやり方を最初から教えていくということです。

長くなりましたが、この記事のようなアンケートの数字の側面は、放っておけば良いというレベルだと思います。それとは別に、日本が外国人を受け入れていかなければならないとするなら、まずは言葉の問題、そして日本社会へ同化させる努力をする必要があります。ヨーロッパのように次の世代で摩擦がおきないためにも。

国保悪用の外国人急増

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2017年1月6日付けで、産経新聞でとりあげられた記事です。

「留学と偽り入国、高額医療費逃れ 厚労省、制度・運用見直し検討」と伝えられています。
お時間のある方は、以下のリンクをご覧ください。

http://www.sankei.com/affairs/news/170106/afr1701060006-n2.html

この記事の中で、行政書士がこの悪用に積極的に荷担しているかのように、書かれているので、本当にそんなことが可能かというところも含めて、この問題の難しさをとりあげてみました。

記事の要点

医療滞在というビザ


医療先進国である日本には、日本でしかできない治療というのがあります。そのため、日本で治療を受けたい富裕層の外国人はたくさんいます。医療というのは観光と同じようインバウンド事業という側面をもっており、そのために政府も「医療滞在」という在留資格を設けています。

高額医療の頭打ち制度


日本でしかできない治療というのは、先進治療であり、非常に高額です。日本人の場合、皆保険制度がありますので、保険適用がされる治療であれば、収入によって、一定額で頭打ちです。しかし、これを全額まともに支払うと年間数千万というケースもあります。医療滞在というビザで治療をうけるときは、当然全額支払う必要があります。

外国人にも適用される皆保険制度


外国人であっても、日本で生活する限り、この皆保険制度の対象となります。外国人も日本人同様に納税をしているわけですから当然ともいえますし、中には永住者で何十年も高額な税金を納めている人もいるわけで、その方たちが保険制度の恩恵をうけることにそれほど違和感はないと思います。

悪用の手口


社会保険への加入


中長期滞在者、具体的には、3ヶ月を超えるビザを保有する外国人(医療滞在は該当しません)は、健康保険への加入が義務付けられます。そこで、安易にとれそうな中長期滞在のビザを取得し社会保険に加入し、日本人と同様の高額医療の頭打ちを狙うわけです。

ビザとの関係


具体的には「留学」もしくは、「経営・管理」というビザを取得します。「留学」の場合、行政書士の出番はあまりないので「経営・管理」に絞って書きます。

「経営・管理」のビザにもいくつか種類があるのですが、いわゆる「投資」を伴うビザの取得条件は、500万の資本金、もしくは、日本人か永住など身分系のビザを保有する外国人を2人雇用すること。独立した事務所を構えることです。

上記の条件で会社を設立し、ビザを取得して、会社から給料をとると厚生年金への加入が義務づけられます。法令通り厚生年金に加入する、もしくは適切ではありませんが、国保に加入するなどの手続で日本人と同様の頭打ち制度を利用できるわけです。

行政書士の積極的関与は可能か?


今回は「国内にいる行政書士がブローカーとして指南する」と書かれていますので、海外のエージェントと直接取引のある行政書士事務所が介入しているという書き方です。つまり、最初から架空の会社設立をして、高額医療の頭打ち制度を利用しようとすることを問題視しているのですが、実務上可能なのでしょうか。

「経営・管理」のビザを取得する要件自体は前述のとおりですが、一方でこのビザは審査に時間のかかるビザです。ビザ免除国でない国の方の場合、1ヶ月や、2ヶ月ですんなりでるケースは滅多にありません。さらに申請前に法人設立する方法が一般的ですから更に時間がかかるわけです。もちろんおりない場合もあります。

日本でしかできない治療をするのに、一日でもはやく治療を開始したいはずです。このビザがでるのを待っていては手遅れになるでしょう。もちろんでないこともあります。つまり条文上では可能ですが、実務上は、そういう手があるよというアドバイスはできても、それほどタイミングよくビザはおりないのです。

そうすると、短期滞在で治療をすすめながら、同時に会社設立、タイミングよくビザが下りれば、短期からの変更申請をする。短期からの変更申請は、原則認められませんが、人道的理由、例えば病気で飛行機にのれないなどの事情があれば認められます。

ちなみにアジアの国で90日のビザ免除国はシンガポールと韓国だけです。私も医療滞在ビザを扱いますが、この二つの国のケースは経験がありません。彼らは自国でも、それなりの治療を受けられますし、日本以外の国を選択することも可能です。

全体としてのスキームをたてて、クライアントと打ち合わせを積んで初めて可能になるわけです。場合によっては、医療機関の協力も必要になります。ダメで元々という前提ですすめることも必要でしょう。海外と強いパイプがあり、計画的に業務を進めていないと不可能です。もしかすると、そういう規模で関わっている行政書士事務所があるのかもしれません。

医療ビザ取得者から法人設立を求められるケース


私の場合、海外エージェントの取引はないので、医療滞在の案件を扱うのは、病院関係者からの紹介だったり、私の英語ページをみて問合せてくるケースしかありません。

具体的には、医療滞在を目的とした短期滞在で入国している方からの問合せです。手術自体は3ヶ月の短期滞在で終わるけれど、リハビリも日本でしたいので、6ヶ月の医療滞在に変更したいというケースです。

このケースで悩ましいのは、日本にきたらビジネスチャンスがあることがわかったので、会社を作りたいという申し出です。実際にビジネスをすると言っている以上、法的にも、道義的にもこの種の依頼は断れません。結果として、同じ事態を招きます。


参照:行政書士法
(依頼に応ずる義務)

第十一条  行政書士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。

結局はビザ制度の問題

ビジネスビザのハードルが低い日本


日本の「経営・管理」ビザは、世界的に見ても格安です。私の事務所で取り扱ったオーストラリアの方など、そのハードルの低さにびっくりしていました。例えば、オーストラリアの場合、会社設立だけではビザはおりません。会社が一定規模に育つまで、現地の人を雇用して、自分は短期ビザで行き来をするくらいしか方法がありません。

グレイゾーン


この記事の作成者が指摘しているのは、500万で架空の会社を設立するという悪質なケースではないかと思います。ところが、1億から2億の投資をして会社を設立し、会社が不動産を購入し、不動産の賃貸収入をえながら、社会保険制度を利用するというようなケースもあるわけです。

本来なら数千万の治療費を払える人たちです。こういう人たちにこそ、医療滞在でしっかりお金を置いていって欲しいのです。しかし、こういう人たちには、不動産投資をするだけで、日本の医療制度を利用し、本来数千万の出費を払わずにすませる手段が残されています。

医療会計現場での問題


逆に、お金のない外国人が保険に入っていないと、医療現場は大変です。アメリカのように、払えなければ診ないよというような習慣が日本人にはありません。目の前で苦しんでいる人を、保険がないなら診ませんよとはいえないわけです。むしろ、保険に入っていてくれないと困ります。

こうやって考えると、社会保険制度の見直しだけでは、この問題は解決できないことがわかると思います。どこまでどのようにコントロールするのか、システム設計には大変な知恵が必要です。

在留資格の申請をしている行政書士をしている立場からすると、「経営・管理」のビザ発給に雇用要件など、事業実態を確認できる更に厳しい審査基準を設ける、入国後1年以上経過しないと社会保険の加入は認めないなど、むしろビザ要件の見直しが必要ではないかと思います。

農業分野への外国人受け入れ

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農業の人手不足は以前から言われており、今年の初め(2016年)には、介護、観光、建築などと並んで、受け入れを検討するという発表がなされたばかりです。その後、介護については、在留資格を新設することが決定されています。

農業については、介護と違い、特区での展開になるということなので、新たな在留資格を設けるというよりは、特定活動などで対応すると思われます。従来、農業については技能実習という制度での受け入れをしてきました。これで、あらたな人材確保の道が開けたわけです。



従来の技能実習の問題点


私は、この技能実習という制度自体にあまり良い印象をもっていません。頻繁に報道されていますが、実際に不法な行為がおこなわれていますし、そもそも欺瞞に満ちています。

(1)給与の問題


実習という名の下に、最低賃金ぎりぎりで雇用し、しかも寮費や食費補助などの名目でごっそり控除するなど、事実上労働基準を満たしていないケースが大変多い。

(2)人権侵害


パスポートや在留カードを預かり逃げられないようにするなどの人権侵害が発生している。雇用する側の無理解からおこっていることですが、本来あってはならない話です。つい先日、日本語学校でもおなじようなことがありました。実は、私のところにくる外国人にもそういう相談をする人がいます。入管には、こういう啓蒙をもっとやってほしいと思います。

(3)期限の問題


原則3年、業種によっては5年の滞在が許可されていますが、仕事を覚えた頃に、帰国しなければなりません。せっかく育てたのに、帰さなくてはならない。しかも、技能実習とは、自国に身につけた技能をもってかえることを目的としていますから、もう一度入国することができない。この矛盾が、偽装難民や逃亡の原因になっています。

雇用主からしても、場合によっては一番の戦力になっている従業員を泣く泣く手放さなければならないのです。それでは、一生懸命育てようとは思わないでしょう。

(4)やめる自由がない


3年、5年の契約をすると雇用主も、研修生もやめることができません。これでは、ほとんど奴隷制度と同じです。先日、酷い雇用主のケースにおいては、移籍も認めるような制度を導入することを政府が発表しましたが、これでは問題は解決できないと思います。

やめる自由があれば、研修生は職場を選ぶことができます。やめさせる自由があれば、雇用する側も従業員を選ぶことができます。自然淘汰がおこなわれます。

今回の発表で気になるところ


少し気になるところは、
「農業に関する専門知識が一定の水準に達している外国人材」
と限定しているところ。たとえば、農業の専門学校や農業大学を卒業している外国人と定義されると、本来必要な働き手になりうるのだろうか、少し心配が残ります。それは実は来年から導入される在留資格、「介護」も同じです。介護福祉士というそれほど簡単ではない資格を要求しています。

ですが、実は、私は農業の専門学校を卒業した学生に在留資格の仕事を失敗した経験があります。農業の専門性は、技術・人文知識・国際業務の一部とはみていないというのが審査官の回答でした。その現状からみれば、ずいぶん規制緩和はされたと考えて良いと思います。

「国家戦略特区」は拡大する


国家戦略特区は拡大します。その理由は、当社の別のページで解説していますので、お時間があればお読みください。ここでは、かいつまんで説明しますと、国家戦略特別区域法というのは、地域再生などを目的とした法律ではないからです。条文のどこにもそんな目的は一言も書かれていません。むしろ「蟻の一穴」を作るための法律といって良いと思います。つまり、この雇用がうまくいけば、農業という在留資格が将来的にできる可能性もあります。

ワーキングホリデーで働く外国人

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オーストラリアにはバックパッカー税という税金制度があります。ワーキングホリデー税とも言います。このバックパッカー税を15パーセントに引き上げることで、合意に達したとオーストラリア財務相が発表しました。

知らない方も多いのですが、日本でもワーキングホリデーの制度があります。この制度のビザに関してまとめてみました。また、よく似た制度で、インターン、サマージョブといった制度があります。最後にそちらにも触れようと思います。

ワーキングホリデー


多くの方の認識は「休暇を利用して短期間日本で働く制度」といったところでしょうか。間違いではありません。ただ、実際はもう少し複雑です。

2国間の協定に基づいて実施されています


ワーキングホリデーは2国間の協定によって成立しています。したがって、各々の国との協定の内容によって、制度の内容も多少違いがあります。日本は以下の16の国と地域との間に協定を結んでいます。

  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • カナダ
  • ドイツ
  • イギリス
  • アイルランド
  • デンマーク
  • 香港
  • ノルウェー
  • 韓国
  • フランス
  • 台湾
  • ポルトガル
  • オーストリア
  • スロバキア
  • ポーランド

2016年12月1日現在

年齢制限があります


青年と規定されていますが、18才から25才、または30才までの方が対象です。25才と30才と上限年齢に差があるのは、オーストリア、カナダ、韓国との協定は25才だからです。ただ、各々の国が認めれば30才まで可能で、日本は認めていますので、日本にこられる方は30才まで可能です。ちなみに冒頭でご案内したオーストラリアの制度改正では、上限年齢が35才に引き上げられましたので、今後日本もかわる可能性があるかもしれません。

滞在の制限


ワーキングホリデーの在留資格は1年が上限です。ずっといられる訳ではありません。
また、一度、日本でワーキングホリデーで日本に滞在したことのあるかたが、再度このビザで来日することはできません。一つの国に対して一生に一度だけもらえるのが、このビザの特徴です。ですから、この制度を使って、何カ国も回ることも可能です。実際にやられている方もいらっしゃいます。

観光目的のビザです


ワーキングホリデーの目的は、あくまで観光です。ただ、観光をするために、補助的に働いたり、勉強したりしても良いですという在留資格です。非常に自由度の高い在留資格です。

理屈っぽい話になりますが、専ら勉強だけをする、もしくは専ら働くだけを目的とするということになりますと、この在留資格の対象とはなりません。

労働の制限は


労働時間の制限などはありません。唯一できないのが、風俗営業等に従事することです。風俗営業等とは,俗に風営法と言われる法律に規定されています。具体的には、性風俗のお店はもちろんですが、お客を接待する料理店、カフェ、雀荘なども含まれます。

これら業種への従事は,人身取引等の被害を受けた場合を除き,退去強制事由に該当します。また,これら業種へ従事させた者については不法就労助長罪,人身売買罪等に問われることもあります。

ワーキングホリデーから就労資格への変更


ワーキングホリデーで日本へ来られた方を雇用してみたら、大変優秀な子で、そのまま働いてもらいたいというここともあると思います。

原則可能です。原則というのは、条文上は不可の国があるからです。例えば、台湾は「滞在終了時に日本国を出国する意図を有すること」が査証をうける条件となっているため、本来は、帰国を前提としています。つまり一旦帰国して在留資格の認定申請をすることになります。

しかしながら、実務上の運用は変更可としているようです。ただ、条文上そうなっている以上、事前に確認が必要とは思います。具体的には以下の国と地域がその対象となります。

  • イギリス
  • アイルランド
  • フランス
  • 香港
  • 台湾
  • ノルウェー

インターンとサマージョブ


サマージョブというよく似た名前の制度があります。実は、ワーキングホリデーとはまったく違う制度なのですが、名前が似ているのでわかりにくのです。サマージョブはむしろインターンとよく似ています。

インターン、サマージョブともに外国の大学に所属する学生が、日本の機関とのあいだの契約に基づいて、その日本の機関ではたらくことを言います。給料は日本の機関が支払います。文字通りインターンなのですが、インターンとサマージョブは二つの点で大きく違います。

インターンにおいては、その大学の教育課程の一部として派遣されるます。つまり単位がとれるということです。一方サマージョブは単位がとれなくても大丈夫です。また、インターンは1年以内、通算で通常の在籍期間の2/1を超えない範囲ですが、サマージョブは大学の授業がおこなわれていない期間で、なおかつ3ヶ月以内と決まっています。

特定活動


これら3つの制度は全て特定活動という在留資格の中に含まれます。

特定活動とは、一言で言ってしまえば「その他」ビザです。条文上は、「法務大臣が個々の外国人について次のイからニまでのいずれかに該当するものとして特に指定する活動」と定められています。イからハまでは、その内容を入管法の別表で直接に定めています。二は複雑です。イからハまでに掲げる活動以外の活動と定められ、なおかつ「告示に掲げれている活動」、「告示に掲げられていない活動」に大きく二分され、告示外については更に細かく分けられています。特定活動については、またあらためて記事にしたいと思います。

不法残留の外国人290人に仕事斡旋

Young businessman on white background

不法滞在の外国人を、茨城県内の食品加工会社に派遣して働かせていたそうです。 あってはならないことですが、そもそも、なぜこんなことがおこりうるのでしょうか。今回は派遣会社が係わっているところが鍵だと思います。


派遣においては、雇用責任は派遣会社にあります。そして、派遣される側は、そのつもりがないにもかかわらず不法残留の外国人を使わされている可能性があります。今回は、派遣会社の社長が不法就労助長罪で逮捕されていますが、それでは派遣社員を受け入れた方はどうなるのでしょうか。また、なぜそのようなことが起こりうるのか。そのようなケースにはどう対応すべきか。派遣特有の問題がありますので、整理をしてみようと思います。

不法残留者かどうかは派遣先はわからない


派遣社員を選ぶことできない


派遣社員とは、雇用は派遣元(派遣会社)、業務の指示は派遣先からうけるという複雑な雇用形態です。そのため、労働者が不利益を被らないように様々な規定が定められています。派遣を直接に規定しているのが「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」、いわゆる派遣法と呼ばれている法律です。

労働者派遣(紹介予定派遣を除く。)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。 第26条6項

いわゆる事前面談を禁止する法律といわれていますが、事前面談に限らず、そもそも派遣社員の特定ができませんから、派遣社員を受け入れる際には、履歴書の提出などをさせて、それを理由に断ることができません。もちろん外国人だからという理由で断ることもできません。つまり、派遣会社が不法就労の社員を送り込んでも、派遣社員の特定ができませんから、不法就労であることがわからないのです。

なぜ、すぐばれないのか


外国人を雇用したときの事業者の義務として、「外国人雇用状況の届出制度」というものがあります。外国人を雇用した際には、雇用者はハローワークに届け出る義務があります。

(外国人雇用状況の届出等) 第二十八条(抄) 事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合またはその雇用する外国人が離職した場合には、 厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省 令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

しかし、これも雇用しているのは派遣会社なので、事業者は係わることがありません。派遣会社が怠っていたり、故意に届けなければ国の知るところとなりません。ですから何年も働いてくれていてありがたい、良い社員だと思っていても、その外国人が不法残留の可能性があります。

派遣先は罪に問われないか?


知っていれば入管法の定める不法就労助長罪にあたります。

第73条の2①次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又これを併科する。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労活動させた者
  2. 外国人に不法就労活動をさせるためのこれを自己の支配下に置いた者
  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあっせんした者


入管法が定めているのは、「雇用する」ではなく、「不法就労活動をさせた者」「自己の支配下に置いたもの」です。つまり、知っていれば罪にとわれます。罰則規定に関しては、刑法の特別法にあたるため「未必の故意」といわれる理論が適用される可能性があります。(そうなるだろうとわかっているのに、あえて知らないふりをして放置しておくこと。)つまり過失についても、「避けるべきリスク」と考えた方が良いと思います。

危険回避のための対策方法


今回のように、派遣会社側が故意でおこなった場合はどうしようもないのですが、それでも雇用する側として、何かしらの対策をやらないよりはやったほうが良いと思います。

1.通知の義務(派遣法35条)を促す


派遣法では、派遣会社に派遣を依頼して、派遣社員の提案をされた場合、面接もできなければ、人を特定することもできません。しかし、そうはいっても、派遣労働者の保護と雇用の安定を図る観点から、派遣元事業主に対し、適正な雇用管理 のための措置を講じさせる必要があります。そこで派遣会社にたいして、雇用後派遣先に通知の義務を課し、氏名、性別、社会保険への加入状況を通知するように定めています。特に社会保険の通知は具体的なものでなくてはなりません。不法残留者であれば保険は入れません。外国人について、明確な回答がなければ疑ってみても良いでしょう。

2.ハローワークへの届出がされていることを確認する


派遣会社にたいして、ハローワークへの届出がされていることを確認してください。もしくは、人材派遣基本契約書にその条項を含めるという方法もあります。

不法残留者であることがわかった場合はどうするか


これは、派遣社員をかえてもらうしかありません。派遣元には「適正な派遣労働者の派遣義務」があります。一般的には以下のような条項をいれていると思います。この「本契約の目的を達成するために必要な資格」という条件が不足していますので、この条項に基づいて代替要員の派遣を求めることができます。もちろん、今回のように悪質なケースであれば、入国管理局への通報窓口がありますから、そこへ通報することも必要です。

乙は、本契約の目的を達成するために必要な資格、能力、知識、技術、技能、健康、経験等があり、派遣就業の目的を達する適正な労働者を甲に派遣しなければならない。
2 甲は、派遣労働者が前項の目的達成に必要な要件を欠いていると認めたときは、代替要員の派遣を求めることができる。派遣労働者が当該要件を欠くに至った場合も同様とする。 

東京入国管理局通報窓口 調査企画部門 03-5796-7256

参考条文


派遣法35条

(3) 通知すべき事項 派遣先に通知しなければならない事項は、次に掲げるものである(法第35条、則第27条の2、則 第28条)。
 ① 派遣労働者の氏名及び性別(派遣労働者が45歳以上である場合にあってはその旨並びに当該派 遣労働者の氏名及び性別、派遣労働者が18歳未満である場合にあっては当該派遣労働者の年齢並 びに氏名及び性別) 労働者派遣をする際に、性別等を派遣先に通知する趣旨は、派遣先における労働関係法令の遵守を担保することにあることに留意すること。 

② 派遣労働者に係る健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無 (「無」の場合は、当該書類が提出されていない具体的な理由を付して派遣先へ通知しなければ ならない(則第27条の2))。 

具体的な理由としては、健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の適用基準を満たしていない場合 にあっては、単に「適用基準を満たしていないため」、「被保険者に該当しないため」等と記載するのでは足りず、
「雇用契約の期間が4週間であり、引き続き雇用されることが見込まれないため」
「1週間の所定労働時間が15時間であるため」等


適用基準を満たしていないことが具体的 にわかるものであることが必要である。 

また、被保険者資格の取得届の手続中である場合にあっては、単に「手続中であるため」等と記 載するのでは足らず、
「現在、必要書類の準備中であり、今月の○日には届出予定」等と、手続の 具体的な状況を記載することが必要である。

 なお、当該通知により、派遣先は当該労働者派遣に係る派遣労働者が派遣元において労働・社会 保険に加入するか否かについての明確な認識を持った上で、当該労働者派遣の受入れを行う効果が 期待できるものであることに留意すること。

技能実習生を雇用したい

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技能実習生を雇用している企業も多いと思います。技能実習の期間が満了した実習生をそのまま雇用できないかというご質問があります。この問題について考えてみます。

技能実習制度とは、


入国の時点で雇用契約を結び、働きながら技能や知識を身につけていく制度で、職種が細かく定められています。その実習生に付与される在留資格を「技能実習」といいます。

企業が単特で受け入れる企業単独型と公益法人など非営利目的の団体が受け入れた上で、各企業と雇用契約を結ぶ団体管理型があります。

入国時は、企業単独型1、団体管理型1という在留資格が付与され、習熟度により在留資格を変更し企業単独型2、団体管理型2へと移行できます。

在留期間の最長は3年です。建設の分野では、技能実習3年をおえた実習生の雇用が可能で、2年の就労が認められています。また、他分野でも技能実習そのものの2年延長が検討されています。

正社員として雇用したい


技能実習生を正社員として雇用したいという気持ちは大変よくわかります。3年働くと、そこそこの技術が身につき、よし、これから頑張ってもらおうという時期です。まさに、ここからが活躍を期待できる中堅どころなわけです。ところが、現行では建設業を除いて、実習生は帰国しなくてはいけません。

これはそもそも、彼らは労働者ではなく実習生であり、この資格は技術を本国に持ち帰ることを目的とした在留資格であることがその理由です。したがって、必ず帰らなければなりませんし、再度雇用しようにも、取得する在留資格がありません。

正社員として残りたい


この質問は、雇用側だけでなく、実習生側からもあるのですが、再入国が可能なケースとしては、留学で入国し、日本の専門学校、大学を卒業した上で、就職するぐらいしか方法はありません。

どうしても日本にいたい実習生の選択肢


難民申請


結果として日本へ残りたい実習生が選ぶのが難民申請という手段です。もちろんこれはいわゆる偽装難民にあたります。現行のルールでは、6ヶ月の期間を経て就労資格が付与され、およそ2年間の審査期間は働けますが、審査は運用がかなり厳しくなっています。今後は期待するのは、難しいと思います。

また、難民申請者で就労資格をもっていると、在留資格の変更も可能ではあるのですが、実習生からの難民申請者に在留資格の変更を認めると、難民申請経由の抜け道ができることになり、本来の趣旨を没却することになります。まず、認められることはないと思って良いと思います。

オーバーステイ


いわゆる不法滞在者です。実習期間の満了にかかわらず、逃げ出す実習生はいます。実際、そういう実習生が多いという報道もされています。逃げ出すにはいろいろな理由があります。単に、甘い言葉に誘われて逃げ出す実習生はともかく、その職場の環境が原因で逃げ出す実習生もいます。

技能実習制度の問題点の一つは、彼らには職場選択の自由がないということです。今回、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が可決しました。これにより雇用者への監督が厳しくなります。実質、労働者という扱いという考えであるなら、なおさら労働者として、人間らしく扱ってほしいと思います。

これらの手段を雇用者と実習生が申し合わせておこなうと雇用者も罰せられますので、ご注意ください。農業など新たな在留資格も創設する動きもあり、制度も変わろうとしていますので、今しばらくの辛抱です。

出入国管理及び難民認定法第73条の2

次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。



(1)事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者

(2)外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者

(3)業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者



2  前項において、不法就労活動とは、第19条第1項の規定に違反する活動又は第70条第1項第1号から第3号の2まで、第5号、第7号、第7号の2若しくは第8号の2から第8号の4までに掲げる者が行う活動であつて報酬その他の収入を伴うものをいう。

労働時間の28時間規制について

J2降格の日

幹部が留学生に就職先をあっせんし、不法就労をさせたという疑いで福島県の日本語学校が摘発されました。

記事ソース:福島民友
http://www.minyu-net.com/news/news/FM20161109-125775.php

28時間の上限規制


入管難民法が定めた上限時間を超えて働くのを助けた不法就労助長罪の疑いです。
外国人をアルバイトやパートで雇用するにあたり、1週28時間という規制がありますので、外国人をアルバイトで雇われる方は十分ご注意ください。

対象の外国人


これは、本来就労を許可されていない在留資格を持っている外国人が、資格外活動の許可をもらって就労する場合に発生します。
日本の在留資格は、身分に付与されるものと、活動に付与されるものがあります。このうち活動に付与される在留資格には、状況によっては資格外活動が認められる場合があります。

資格外活動が認められるケース


就労の資格外活動が認められる主な資格は3つあります。

  • 留学の資格をもつ外国人
  • すでに学校を卒業し就職活動をしている特定活動をもつ外国人
  • 家族滞在の資格をもつ外国人

これらの外国人は、資格外活動を申請し認めれれば、アルバイト、パートで働くことができます。在留カードの裏面を確認してください。


在留カード資格外活動

「原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されているはずです。1週28時間以内であれば風俗営業以外はどんな職業にでもつくことができます。

なぜ28時間なのか


この資格外活動というのは、本来の活動が阻害されない範囲で許可されます。つまり学生の本分は勉強です。学業がおろそかにならない範囲が週28時間だというわけです。

就職活動をする外国人も同じです。法定で定められている週40時間まるまる働いたら、就職活動などしているはずがないからです。

また、家族滞在は、配偶者もしくは親の扶養に入っていることを条件に付与される在留資格です。28時間以上働きたいのであれば、自分自信が働けるの在留資格を取得する必要があります。

28時間の規制の例外


上記3つの在留資格のうち、「留学」の資格をもつ外国人にだけは、一定期間の例外が認められています。夏休み、春休みといったいわゆる長期休暇の期間に限り1日8時間週40時間の労働が認められています。

28時間は個人の総労働時間


この28時間という時間は、個人の総労働時間を指します。会社1社での時間ではありません。留学生が2カ所で働いていることもありますので、ご注意ください。

今回の不法就労の斡旋は、授業料が払えるようにという意図だったようですが、学校の授業料が減るのを防ぐためと考えると、かなり悪質です。
日本語学校、勤務先には、不法就労助長罪が適用され、留学生は不法就労で在留資格が取り消されます。

在留資格は期間があっても活動を伴わなければだめ

関連した話で、学校に入学だけして、通学せず、後はアルバイトをしていたという学生が、入管から呼び出されてから相談にくるケースがあります。

全員が口を揃えていうのが、ビザの期間が残っているから良いと思ったということです。しかし、日本の在留資格は、身分、もしくは活動に対して与えられます。留学は活動に対して付与される在留資格です。

在留資格に指定される活動を3ヶ月以上しなくなった場合には在留資格が取り消される場合があります。期間と活動内容の両方が満たされていないと、日本にはいられないのです。もし、このことを勘違いしている学生がいたら、教えてあげて欲しいと思います。

入管法第22条の4(在留資格の取消)①法務大臣は、別表第1又は別表第2の上欄の在留資格をもって本邦に在留する外国人(中略)について、次の各号に揚げるいずれかの事実が判明したときは、法務省令で定める手続により、当該外国人が有する在留資格を取り消すことができる。

<中略>

6.別表第1の上欄の在留資格をもって在留するものが、当該在留資格に応じ、同表の下欄にあげる活動を3ヶ月行わないで在留していること。



別表第1

上欄:留学

下欄:本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中東教育学校の後期課程を含む)若しくは特別支援学校の高等部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編成に関してこれらに準ずる期間において教育をうける活動。

難民申請者を雇用する

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あまり評判のよくない難民申請者ですが、実は良質な労働力でもあります。
一定の要件を満たした難民申請者には、就労許可が与えられます。この就労資格をもった難民申請者を労働力という視点で考えてみましょう。

難民申請者を雇用するメリット

業務内容に制約がない


難民申請者に与えられる就労許可には原則制限がありません。唯一就けない仕事は風俗関連です。したがって、工場労働者としても、工事の現場作業員としても雇用できます。

労働時間に制約がない


学生や主婦が資格外活動として認められる労働時間は、1週28時間です。(学生は長期休暇時に限り1日8時間まで認められます) しかし、難民申請者に認められる就労資格には、労働時間の制約がありません。あるのは、他の日本人と同じ、労働基準法による制約だけです。

高学歴者が多い


学歴と優秀さは必ずしも一致しませんが、高学歴者の方が比較的理解力があるのは事実です。難民申請者の中には、大卒やときにはMBAを持っている人すらいます。しかも、難民申請者は仕事を選ばない傾向にあります。彼らを雇用できるメリットは大きいと思います。

難民申請者を雇用するデメリット


審査期間の間しか使えない


難民申請中は就労許可がもらえても、審査が終わって却下されると就労許可どころか、在留資格もなくなります。異議申立をすることも可能ですし、再度申請することも可能です。しかし、再申請の場合、また、6ヶ月の間は、就労許可はでません。

難民申請の平均の審査期間は、2年間です。最初の6ヶ月を除くと、平均1年半ということになります。1年半雇用できれば良いという判断であれば、十分労働力として利用できます。


※再申請に関する運用は今後かなり厳しくなるという報道がありました。

難民申請者を正規社員にする


雇用した難民申請者が優秀なので、そのまま雇用したいというような場合に、それが可能かどうかという点ですが可能です。ただし、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の条件に適合する必要があります。また、あからさまな偽装難民申請の場合、ネガティブ要素として見られますから、申請時には注意が必要です。

具体的には、「雇用と在留資格」のコーナーをご覧ください。この人で、この仕事で雇用できるかという具体的については、当事務所へお問合せください。ダメなものはダメですが、案外いける場合もあります。

偽装難民の問題


聞こえは良くありませんが、日本にいる難民の大半はこの偽装難民です。一番多いのが、留学生が仕事がなく、就職期間が切れてしまい難民申請するケース、また、留学生が学校に行かなかったり、オーバーワークといって、28時間を超えて働いたために「留学」の在留資格を取り消されたケースなどです。

しかし、彼らは、働き過ぎて在留資格を失ったのです。そういう意味では、働き者なのです。あくまで人をみてという話にはなるのですが、優秀な労働力になる可能性は高いと思います。

難民の定義

「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受ける恐れがあるために他国に逃れた」人々。

キーワードは「人種」「宗教」「国籍」「政治的意見」そして「迫害」です。日本は最も認定に対して消極的で、審査上、この条件を文字通り適用しようします。つまり。多くの場合は、その国の警察が保護すべき事案であって、日本が保護すべき理由はないわけです。また、単に戦火を逃れてきたというケースもだめです。

この定義は「難民の地位に関する条約」(1951年)と「難民の地位に関する議定書」(1967年)に定められています。日本は、1981年に「難民の地位に関する条約」に加入、1982年に「難民の地位に関する議定書」を批准しています。

※「難民の地位に関する条約」は1951年1月1日前に生じた事件の結果として難民になっていたものを対象としていたため、「難民の地位に関する議定書」で上記のような趣旨に修正されました。

難民認定のシステム

難民申請者


自ら、難民である主張する人は、入国管理局に難民申請をおこないます。難民申請をおこなうと、一定の要件を満たした場合、特定活動という在留資格を取得し、6ヶ月を経て「就労許可」がえられます。この就労許可は、難民の申請者であるうちは継続されます。

難民


申請者が難民であると認定されると、「定住者」という資格が与えられ、日本人と同じように制約なく、働くことができます。また、難民認定はされなかったが、人道的理由がある場合に、定住者資格が与えられ、日本の場合は、前者が27人、後者は100人を超えます。しかし、それでも世界的にみれば圧倒的に少ない数です。

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