農業分野への外国人受け入れ

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農業の人手不足は以前から言われており、今年の初め(2016年)には、介護、観光、建築などと並んで、受け入れを検討するという発表がなされたばかりです。その後、介護については、在留資格を新設することが決定されています。

農業については、介護と違い、特区での展開になるということなので、新たな在留資格を設けるというよりは、特定活動などで対応すると思われます。従来、農業については技能実習という制度での受け入れをしてきました。これで、あらたな人材確保の道が開けたわけです。



従来の技能実習の問題点


私は、この技能実習という制度自体にあまり良い印象をもっていません。頻繁に報道されていますが、実際に不法な行為がおこなわれていますし、そもそも欺瞞に満ちています。

(1)給与の問題


実習という名の下に、最低賃金ぎりぎりで雇用し、しかも寮費や食費補助などの名目でごっそり控除するなど、事実上労働基準を満たしていないケースが大変多い。

(2)人権侵害


パスポートや在留カードを預かり逃げられないようにするなどの人権侵害が発生している。雇用する側の無理解からおこっていることですが、本来あってはならない話です。つい先日、日本語学校でもおなじようなことがありました。実は、私のところにくる外国人にもそういう相談をする人がいます。入管には、こういう啓蒙をもっとやってほしいと思います。

(3)期限の問題


原則3年、業種によっては5年の滞在が許可されていますが、仕事を覚えた頃に、帰国しなければなりません。せっかく育てたのに、帰さなくてはならない。しかも、技能実習とは、自国に身につけた技能をもってかえることを目的としていますから、もう一度入国することができない。この矛盾が、偽装難民や逃亡の原因になっています。

雇用主からしても、場合によっては一番の戦力になっている従業員を泣く泣く手放さなければならないのです。それでは、一生懸命育てようとは思わないでしょう。

(4)やめる自由がない


3年、5年の契約をすると雇用主も、研修生もやめることができません。これでは、ほとんど奴隷制度と同じです。先日、酷い雇用主のケースにおいては、移籍も認めるような制度を導入することを政府が発表しましたが、これでは問題は解決できないと思います。

やめる自由があれば、研修生は職場を選ぶことができます。やめさせる自由があれば、雇用する側も従業員を選ぶことができます。自然淘汰がおこなわれます。

今回の発表で気になるところ


少し気になるところは、
「農業に関する専門知識が一定の水準に達している外国人材」
と限定しているところ。たとえば、農業の専門学校や農業大学を卒業している外国人と定義されると、本来必要な働き手になりうるのだろうか、少し心配が残ります。それは実は来年から導入される在留資格、「介護」も同じです。介護福祉士というそれほど簡単ではない資格を要求しています。

ですが、実は、私は農業の専門学校を卒業した学生に在留資格の仕事を失敗した経験があります。農業の専門性は、技術・人文知識・国際業務の一部とはみていないというのが審査官の回答でした。その現状からみれば、ずいぶん規制緩和はされたと考えて良いと思います。

「国家戦略特区」は拡大する


国家戦略特区は拡大します。その理由は、当社の別のページで解説していますので、お時間があればお読みください。ここでは、かいつまんで説明しますと、国家戦略特別区域法というのは、地域再生などを目的とした法律ではないからです。条文のどこにもそんな目的は一言も書かれていません。むしろ「蟻の一穴」を作るための法律といって良いと思います。つまり、この雇用がうまくいけば、農業という在留資格が将来的にできる可能性もあります。