月別アーカイブ: 2016年12月

農業分野への外国人受け入れ

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農業の人手不足は以前から言われており、今年の初め(2016年)には、介護、観光、建築などと並んで、受け入れを検討するという発表がなされたばかりです。その後、介護については、在留資格を新設することが決定されています。

農業については、介護と違い、特区での展開になるということなので、新たな在留資格を設けるというよりは、特定活動などで対応すると思われます。従来、農業については技能実習という制度での受け入れをしてきました。これで、あらたな人材確保の道が開けたわけです。



従来の技能実習の問題点


私は、この技能実習という制度自体にあまり良い印象をもっていません。頻繁に報道されていますが、実際に不法な行為がおこなわれていますし、そもそも欺瞞に満ちています。

(1)給与の問題


実習という名の下に、最低賃金ぎりぎりで雇用し、しかも寮費や食費補助などの名目でごっそり控除するなど、事実上労働基準を満たしていないケースが大変多い。

(2)人権侵害


パスポートや在留カードを預かり逃げられないようにするなどの人権侵害が発生している。雇用する側の無理解からおこっていることですが、本来あってはならない話です。つい先日、日本語学校でもおなじようなことがありました。実は、私のところにくる外国人にもそういう相談をする人がいます。入管には、こういう啓蒙をもっとやってほしいと思います。

(3)期限の問題


原則3年、業種によっては5年の滞在が許可されていますが、仕事を覚えた頃に、帰国しなければなりません。せっかく育てたのに、帰さなくてはならない。しかも、技能実習とは、自国に身につけた技能をもってかえることを目的としていますから、もう一度入国することができない。この矛盾が、偽装難民や逃亡の原因になっています。

雇用主からしても、場合によっては一番の戦力になっている従業員を泣く泣く手放さなければならないのです。それでは、一生懸命育てようとは思わないでしょう。

(4)やめる自由がない


3年、5年の契約をすると雇用主も、研修生もやめることができません。これでは、ほとんど奴隷制度と同じです。先日、酷い雇用主のケースにおいては、移籍も認めるような制度を導入することを政府が発表しましたが、これでは問題は解決できないと思います。

やめる自由があれば、研修生は職場を選ぶことができます。やめさせる自由があれば、雇用する側も従業員を選ぶことができます。自然淘汰がおこなわれます。

今回の発表で気になるところ


少し気になるところは、
「農業に関する専門知識が一定の水準に達している外国人材」
と限定しているところ。たとえば、農業の専門学校や農業大学を卒業している外国人と定義されると、本来必要な働き手になりうるのだろうか、少し心配が残ります。それは実は来年から導入される在留資格、「介護」も同じです。介護福祉士というそれほど簡単ではない資格を要求しています。

ですが、実は、私は農業の専門学校を卒業した学生に在留資格の仕事を失敗した経験があります。農業の専門性は、技術・人文知識・国際業務の一部とはみていないというのが審査官の回答でした。その現状からみれば、ずいぶん規制緩和はされたと考えて良いと思います。

「国家戦略特区」は拡大する


国家戦略特区は拡大します。その理由は、当社の別のページで解説していますので、お時間があればお読みください。ここでは、かいつまんで説明しますと、国家戦略特別区域法というのは、地域再生などを目的とした法律ではないからです。条文のどこにもそんな目的は一言も書かれていません。むしろ「蟻の一穴」を作るための法律といって良いと思います。つまり、この雇用がうまくいけば、農業という在留資格が将来的にできる可能性もあります。

ワーキングホリデーで働く外国人

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オーストラリアにはバックパッカー税という税金制度があります。ワーキングホリデー税とも言います。このバックパッカー税を15パーセントに引き上げることで、合意に達したとオーストラリア財務相が発表しました。

知らない方も多いのですが、日本でもワーキングホリデーの制度があります。この制度のビザに関してまとめてみました。また、よく似た制度で、インターン、サマージョブといった制度があります。最後にそちらにも触れようと思います。

ワーキングホリデー


多くの方の認識は「休暇を利用して短期間日本で働く制度」といったところでしょうか。間違いではありません。ただ、実際はもう少し複雑です。

2国間の協定に基づいて実施されています


ワーキングホリデーは2国間の協定によって成立しています。したがって、各々の国との協定の内容によって、制度の内容も多少違いがあります。日本は以下の16の国と地域との間に協定を結んでいます。

  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • カナダ
  • ドイツ
  • イギリス
  • アイルランド
  • デンマーク
  • 香港
  • ノルウェー
  • 韓国
  • フランス
  • 台湾
  • ポルトガル
  • オーストリア
  • スロバキア
  • ポーランド

2016年12月1日現在

年齢制限があります


青年と規定されていますが、18才から25才、または30才までの方が対象です。25才と30才と上限年齢に差があるのは、オーストリア、カナダ、韓国との協定は25才だからです。ただ、各々の国が認めれば30才まで可能で、日本は認めていますので、日本にこられる方は30才まで可能です。ちなみに冒頭でご案内したオーストラリアの制度改正では、上限年齢が35才に引き上げられましたので、今後日本もかわる可能性があるかもしれません。

滞在の制限


ワーキングホリデーの在留資格は1年が上限です。ずっといられる訳ではありません。
また、一度、日本でワーキングホリデーで日本に滞在したことのあるかたが、再度このビザで来日することはできません。一つの国に対して一生に一度だけもらえるのが、このビザの特徴です。ですから、この制度を使って、何カ国も回ることも可能です。実際にやられている方もいらっしゃいます。

観光目的のビザです


ワーキングホリデーの目的は、あくまで観光です。ただ、観光をするために、補助的に働いたり、勉強したりしても良いですという在留資格です。非常に自由度の高い在留資格です。

理屈っぽい話になりますが、専ら勉強だけをする、もしくは専ら働くだけを目的とするということになりますと、この在留資格の対象とはなりません。

労働の制限は


労働時間の制限などはありません。唯一できないのが、風俗営業等に従事することです。風俗営業等とは,俗に風営法と言われる法律に規定されています。具体的には、性風俗のお店はもちろんですが、お客を接待する料理店、カフェ、雀荘なども含まれます。

これら業種への従事は,人身取引等の被害を受けた場合を除き,退去強制事由に該当します。また,これら業種へ従事させた者については不法就労助長罪,人身売買罪等に問われることもあります。

ワーキングホリデーから就労資格への変更


ワーキングホリデーで日本へ来られた方を雇用してみたら、大変優秀な子で、そのまま働いてもらいたいというここともあると思います。

原則可能です。原則というのは、条文上は不可の国があるからです。例えば、台湾は「滞在終了時に日本国を出国する意図を有すること」が査証をうける条件となっているため、本来は、帰国を前提としています。つまり一旦帰国して在留資格の認定申請をすることになります。

しかしながら、実務上の運用は変更可としているようです。ただ、条文上そうなっている以上、事前に確認が必要とは思います。具体的には以下の国と地域がその対象となります。

  • イギリス
  • アイルランド
  • フランス
  • 香港
  • 台湾
  • ノルウェー

インターンとサマージョブ


サマージョブというよく似た名前の制度があります。実は、ワーキングホリデーとはまったく違う制度なのですが、名前が似ているのでわかりにくのです。サマージョブはむしろインターンとよく似ています。

インターン、サマージョブともに外国の大学に所属する学生が、日本の機関とのあいだの契約に基づいて、その日本の機関ではたらくことを言います。給料は日本の機関が支払います。文字通りインターンなのですが、インターンとサマージョブは二つの点で大きく違います。

インターンにおいては、その大学の教育課程の一部として派遣されるます。つまり単位がとれるということです。一方サマージョブは単位がとれなくても大丈夫です。また、インターンは1年以内、通算で通常の在籍期間の2/1を超えない範囲ですが、サマージョブは大学の授業がおこなわれていない期間で、なおかつ3ヶ月以内と決まっています。

特定活動


これら3つの制度は全て特定活動という在留資格の中に含まれます。

特定活動とは、一言で言ってしまえば「その他」ビザです。条文上は、「法務大臣が個々の外国人について次のイからニまでのいずれかに該当するものとして特に指定する活動」と定められています。イからハまでは、その内容を入管法の別表で直接に定めています。二は複雑です。イからハまでに掲げる活動以外の活動と定められ、なおかつ「告示に掲げれている活動」、「告示に掲げられていない活動」に大きく二分され、告示外については更に細かく分けられています。特定活動については、またあらためて記事にしたいと思います。