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偽装留学生の問題

1月29日付けの東洋経済オンラインに「日本でベトナム・ネパール人が急増した事情」という記事が掲載されていた。

ベトナム人・ネパール人が急増した理由としては、人民元があがったということ以外は書かれていないのだが、最後に偽装留学生の問題をとりあげていたので、偽装留学生とはどんな留学生なのか、思いつくところを書いておこうと思う。

私の経験から、またネパール人の友人などからの話からも、大半の学生の目的は就労である。学校を卒業してから就労するか、学生のうちからガンガン働くかの違いはある。しかし、少なくとも学問を修めようと思って来日している学生はほとんどいない。「日本の学校を卒業すれば、日本で就職できる」と考えるか、「日本のビザがあれば日本で働ける」という違いはあるものの、最終的な目的は日本での就労だということだ。前者はごく普通の流れで、日本人がアメリカ企業に勤めたければ、アメリカの大学に留学をするというのと同じで、動機を否定するのはいかがなものかと思うので、問題は後者のケースである。

私のところにもよく、偽装留学生が相談にやってきていた。「ビザが更新できない」、「入管から出頭命令があった」など困ってやってくるのだが、ビザ(正確には在留資格)のシステムを全く理解していないために窮地に陥る。日本のビザ、正確には在留資格(ここではとりあげないが、ビザと在留資格は別のものである)というが、ほぼすべての種類のビザはその活動が特定されている。留学生のもつ「留学」というビザは日本で学問を修めるという目的の活動を行うために付与されるビザである。

したがって、このビザが更新されるには、実際に学業を行っていなければならない。ここで最初の関門は、出席日数である。出席日数が不足していると在留資格は更新されない。留学生の中には、ビザがもらえればあとは働いて稼ぐだけと考えている者も多いが、留学という資格についてはそもそも就労を認めていない。ただし、アルバイトの範囲で週28時間の資格外活動許可が与えられる。28時間を超えて働いたことがわかるとやはり更新されない。これをオーバーワークという。

以前は、2年の留学であれば、2年のビザが発給されたようだが、現在では1年づつ様子をみるようなので、1年目の結果で2年目のビザがでるようになっている。また、就職時には成績証明書、出席日数を提出させる。この書類は本人が開封すると無効である。入管としても知恵を使っているわけです。

こういう努力で、来日後一度も学校には行っていないなどという留学生は最近は聞かないが、そもそも留学に限らず、日本のビザは活動目的に対してだされているという大前提を理解していない外国人がほとんどであり、そのために窮地に陥る。また触れる機会もあるが、日本人と結婚していて、離婚すれば「日本人配偶者」という在留資格の活動は終わる。「経営・管理」という在留資格で会社を経営していて、最近経営難なのでアルバイトをするのは資格外活動にあたる。

我々、申請取次をする者にとって、ビザ取得のハードルがあがるのは、困ったことではあるのだが、一方で不届きな連中を頻繁に目にする最前線にいるのも確かであるので悩ましい問題ではある。

ただ、この種の議論をするときに、ビザ取得のルールを悪用する困った外国人を問題にするが、一方で雇用する側の問題には目をつむる傾向にあるのはいかがなものかと思う。「水心有れば魚心」、需要と供給が揃わなければ成立しないのである。単純労働についてもしっかり管理できる在留資格を創設するなど、需要がある以上、もぐりではなく、管理下におくことを考えた方が、雇用する側にとっても、働く側にとっても望ましいのではないかと当職は考える。

http://toyokeizai.net/articles/-/206541