変わった在留資格(特定活動)

コラム「働ける在留資格」では、ブルーカラー向けの「特定技能」、ホワイトから向けの「技術・人文知識・国際業務」を主に紹介しました。日本の在留資格はかなり細かく、就労できる資格は他にもいくつかあります。かなり特殊なケースもありますが、被雇用者となる就労系の資格を紹介をしておきます。その多くは特定活動という資格に定められています。

特定活動とは?

「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」という曖昧な資格です。この曖昧な表現のおかげで、新たにニッチな在留資格を創出できるわけです。例えば、オリンピックや万博などでは多くの外国人関係者が日本に入ってきますが、これらの外国人が全員、技術・人文知識・国際業務の活動にあたるわけでもないので、こういう資格が必要になります。新たな在留資格ができると政府からの「告示」で公になります。また、告示で定められていないケースもあります。例えば、難民申請者が一時的に付与される出国準備のための特定活動、在留資格の変更が認められず、なおかつ在留期限が切れているときなどに付与される特定活動などがそれにあたります。

【参考】出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(出入国在留管理庁)

難民申請者

難民というのは自国で政治、宗教などの問題で迫害にあって逃げてきた人です。戦火があるので危険だというだけでは難民にはなりません。

「難民」であるという認定をうけると定住者というどのような職種にもつける資格が与えられます。しかし、難民審査は長引きます。そこで、偽装難民ではないだろうという外国人には、在留資格が与えられ、就労が認められます。ただし、ある日突然難民審査が終わり、働けなくなるということもあるので、それを前提に雇用する必要があります。留学生が、学費を払えなくなり、難民申請をするというケースが多発し、現在では、誰にも就労が認められるわけではなくなっています。

ワーキングホリデー

働きながら日本の生活様式を学ぶことを目的としています。年齢制限があり、一度だけしか発給されません。

また、1年から2年の期間制限があります。どの国の方でも来られるわけではなく、日本との間で二国間協定を結んでいる国の方に限られます。この資格でやってきて、日本が好きになり、そのまま滞在したいという方も時折います。技術・人文知識・国際業務、特定技能などに変更する、一旦留学に切り替えて日本語を学ぶなどの選択肢があります。

サマージョブ、インターンシップ

外国の大学の学生が日本の企業の仕事を体験するための資格です。

よく似た制度ですが、「サマージョブ」は外国の大学に通う学生(もちろん外国人です)が長期休みに、その大学と提携している企業で、日本やその企業を体験する目的で来日し就労できる資格です。最長が3ヶ月です。
一方、「インターンシップ」はその大学の教育課程の一部として、日本の企業に体験入社する資格です。つまり、日本で働くことが単位の対象になっている必要があります。最長期間は1年です。

日系4世

日系3世までは定住者という資格が与えられますが、4世については長い間認められてきませんでした。現在4世については5年を上限として滞在が認められています。ただし、年齢制限、扶養者の存在、N4の日本語能力など条件がいくつかあります。5年という上限、18歳から30歳という年齢制限があることから、事実上労働者確保のための資格と考えて良いと思います。

日本の大学卒

日本の大学、大学院を卒業し、かつ日本語のN1資格を保有しているとかなり広範囲の業務につくことができます。
例えば、宿泊業で予約管理など、本来の技術・人文知識・国際業務の職種に加え、ドアマンなどの現場業務に就く、タクシー会社でスタッフ業務に加え、ドライバーとしても従事する。製造業で、指導をしながらも自らもラインにはいるなどです。N2をもっている外国人は多いのですが、N1はかなり少ないと思います。

日本料理海外普及人材育成事業

もともとは、日本料理の海外普及を目的に、調理の専門学校を卒業した外国人留学生が、引き続き、日本国内の日本料理店で働きながら、技術を学べる制度でした 。
現在では対象が拡大され、日本料理以外の料理や製菓も対象とされいます。条件としては、調理又は製菓の専門学校を卒業した留学生であること。技術を持ち帰ることを条件であるため、最長5年の期間が定められていることなどです。

【参考】出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(出入国在留管理庁)