10年のキャリアを証明する難しさ

同僚は外国人「10年のキャリアを証明するむつかしさ」

オフィスワークのための資格である技術・人文知識・国際業務の条件は「大卒」であることである。
例外として、日本の専門学校を卒業して専門士の資格もっている、もしくは同じ職種で10年のキャリアがあれば申請することは可能だ。この中で、圧倒的に難しいのが10年のキャリアでの申請である。

業界では有名なゲーム・プロダクションの案件であった。
ゲームの画像部分を主に扱うデザイナーを日本で働かせたいということで依頼をうけた。

ところが、履歴をだしてもらうと、このかた、13年にわたり20社以上で働いており、しかも雇用契約より、業務委託契約が多かった。さらに、その発注先の大半がすでに潰れているというやっかいな状況であった。
雇用契約の期間は在職証明書で対応するが、それはさほど難しいこともなく集まった。ただし、2年ほどでしかない。

次に、自営の期間の税務申告書類と請求書や振込事実がわかる口座の取引一覧を集めてもらった。予想していたことではあったが、入管からは追加書類の要請がさらにきた。取引の事実の立証が不十分だという。
そこで、取引証明書をださせることにしたのだが、大半が潰れた会社なので、元のオーナーに連絡をとってうところからスタートだ。
メールの時代でなければほとんど不可能である。
まずメールで在職証明をもらう。どうしても人物特定が怪しいときは、公正証書にしてもらう。

そこまでやって、なんとか10年ほどの期間が埋まったつもりになったのだが、最後に落とし穴があった。
本人が最初に書いたキャリアに誤りがあり、どうしても2ヶ月ほど足らないのだ。
本人に、「何かないのか」と聞いたところ、大学のデザインの単位をいくつか持っているという。
専門の知識を学ぶ期間は10年の経歴に含めて良いことになっている。その情報を送ってよこさせると、科目単位で受講でる公開講座のようなシステムではあるが、単位も認められることがわかった。日本では、あまりきかないが、実は行政書士会は大学院とタイアップして、法律の集中講義を実施しており、1単元分の大学院単位がもらえる。それに近いのだろう。
それで、やっと3ヶ月が埋まったのだ。

「薄氷を踏む」とはまさにこのことである。