ビジネスと思ったら単なる投資運用

コラム:同僚は外国人「ビジネスと思ったら単なる投資運用」

「このビジネスでビザがとれるのか」という相談だった。
相談に来たのは技術・人文知識・国際業務の在留資格をもったEU出身者だ。世界的に著名な金融機関に勤務していたが、コロナのための業務縮小で解雇され、すでに4ヶ月がたっていた。入管法は、在留資格に定められた活動を継続して3ヵ月以上行わないで在留している場合、取消の対象となる(出入国管理及び難民認定法の第22条の4−6項。とりあえずいつまでも放置しておくわけにはいかないので、離職したことを入管に届け出ることを薦め、今後の対策をたてることにした。

本人の希望は「仕事を探してもいるが、投資を事業目的とした個人事業主でもあるので、経営管理の在留資格がとれるのではないか」というものだった。税務署への開業届もみせてくれた。
実は、こういうのはかなりドキドキする。なぜなら、事業を経営するのは、技術・人文知識・国際業務の活動ではない。「この表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。​​」とわざわざ書かれているように、入管法はかなり細かく活動を規定している。会社の経営と使われる側を明確に区別しているのだ。(実際は、部長職あたりだと、どちらでもいけたりはする。)つまり、在留資格取り消しの対象になる。

そこで、彼のやっている投資業務の話をヒヤリングしたのだが、結局、自分のもっている資金をでディーラーに預けて運用しているだけであった。むねをなでおろしたのだが、逆にこれで経営管理を申請すると思うと、これはこれで頭の痛い話で、結局、「頑張って仕事を探してください」というアドバイスで終わったのである。

出入国管理及び難民認定法 22条の4ー6項

技術・人文知識・国際業務

入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が,当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし,当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。

出入国管理及び難民認定法 別表第1​​の2

技術・人文知識・国際業務

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)